カステラの日々 ::: 2017.02.13 Monday
- Tomoko Arahori
- 2020年7月30日
- 読了時間: 4分




カステラ、カステラ、カステラ。寝ても覚めてもカステラという感じにこの数週間、まさしく夢中になっておりました。
和菓子であるカステラは、作り方がとてもユニークです。
型は木枠がふたつとふた。生地作りも、泡立てた卵の比重を守ったり、生地を濾したり、寝かせたり。
そして何よりも、窯に入れて2~3分ごとに数回生地を出して、泡切りという、生地に浮いてくる気泡を消す作業があるのです。
材料は、小麦粉、上白糖、卵、そして米飴、蜂蜜、水飴、のどれか(もしくはブレンド)と、水。
いろいろなところで見かける配合にはかなりの幅がありました。
自宅の台所で、専用木枠を用意したりはせずに、フットワーク軽く作れないものかな。
ただし、必要な手間は厭わずに、丁寧に。
でもでも、
「あー大変だったー、もう当分作る気にはなれないかも」と、一回作ったら好奇心満足、それでおしまい、になるようじゃ、つまらない。思い出したら、思いついたら、すぐ作りたくなれるようなカステラ。
そんなスタンツで臨みながら、いわゆるおやつカステラではない、お店で売っているあのカステラに、近づける限界はどこだろう、つまり、お家カステラのマックスはどこだろう、そこにたどり着きたい、と四六時中考えていました。
カステラについて、私は自分の好きな味と生地の質感があります。しかもその好みはきっぱりしているので、求めている配合を探すのは迷わず、楽しい作業でした。
卵白と卵黄の割合と、米飴、水飴、蜂蜜の選択、ここのあたりで作り比べたのは6パターン。
あとは、伝統的な行程のひとつひとつについて、この作業にはどんな意味があるのかを考えつつ、それをやったり省いたり、もしくは違う方法に工夫して置き換えたりして、焼きあがりの違いを確かめていきました。
8年前におやつカステラは一度作ったことがあったので、1回目はまず、その通りに作りました。出来上がったカステラは美味しくて、間違いなく日本のカステラの味。でも食感が洋菓子で好まれるタイプの優しいふわふわ感で、今の私が求めるカステラは、これではないのよね、とがっかり。
その短所を改善していくように、あれこれ上記の試行錯誤を繰り返し、座布団にして2枚分は焼いたと思います。(笑)
そして先日、ようやく、イメージ通りの嬉しくなるようなカステラができました。
大好きな味、カステラ特有のあの心地よいかすかに弾力のある生地、しっとりとした質感。
一番下の右側の画像です。
嬉しくて、完成したその日は一日中幸せでした。(^^)
今は、ここでちょっと休憩しています。
もう少ししたら、今度は焼成の温度と時間を変えた場合の比較にとりかかります。^^
本物のように、オーブンから出た段階で、きちっと端正に、水平に焼き上がって完成しているというのはなかなか難しい。
ならば、逆さにして冷ませばいいのですが、そうして平らになっても、表面をシワシワさせないでつるっとしたままにするには、どうしたらいいか、をずっと考えていました。なかなか思いつきませんでしたが、なぜしわになるのか、なぜベーキングシートの跡がつくのかと、発想の起点を変えてみたら、ハッと思いついたことがあり、ドキドキしながら試してみたら上手くいった時は、本当に嬉しかったです。何か作る時、何をしたらどういう失敗になるのか、これも身をもって体験して知っていること、わかっているということ、はとても大事なことだと思います。
エジソンが電球を発明した時、インタビューワの質問に答えての、
私は何万回の失敗をしたのではない、何をしたら失敗するかを何万回実験したのだ、という名言がありますが、
お料理も、上手くいかなかった、失敗した、という経験は、誰かから見聞きした知識としてではなく、自分の実際の経験に裏付けられた知識として蓄積され、いつの日か、プラスのチカラへと変わっています。けして無駄にはならないと思います。
カステラの話から、いきなり飛び過ぎましたが。(笑)
というわけで、今月の私の身体を構成する材料は、カステラが一番シェアを占めているかもしれません。^^;
カステラの食べ過ぎで、お腹周りに肉布団をまとってしまうようなことにならぬよう、自制は(なるべく)しながら、大好きなホットミルク&カステラの朝ご飯、もうしばらく続きそうです。
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