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香りの記憶 ::: 2012.10.13 Saturday

  • Tomoko Arahori
  • 2020年7月27日
  • 読了時間: 2分

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日が暮れるのが早くなりましたね。

昨日実家に出かけていたのですが、自宅のある駅に戻ってきて電車を降り、地上に出たら、あたりはすっかり宵闇の中でした。

「秋の日はつるべ落とし」を今時の子にもわかりやすく言うと、『秋の日はバンジージャンプ』となるのだと今日の読売朝刊のコボちゃんを思い出して、ひとりくすっと笑ってしまいました。いつの間にか、金木犀の甘い香りも漂っています。四季豊かな日本に生まれ育ち、春夏秋冬、どの季節にもそれぞれの風情があり素敵ですが、秋晴れの澄みきった空の下、金木犀の香り漂う今も、大好きな季節。


毎朝五時過ぎには起きて、私はまず窓を開けます。(冬でも欠かさず)

今朝、すっと静かに部屋へ流れて込んできた、ひんやりとした空気の中にも甘い香りが溶けていました。それは昼下がりに嗅ぐ香りよりも、ひそやかに、でも、もっと甘く、濃く。

実は私、ずっとずっと前から、小学生の頃から、朝の金木犀の香りが強い理由を、皆がいい匂いって、深呼吸して吸ってしまう前だからだなんて思っていたの。(笑)


プルーストの代表作、「失われた時を求めて」の中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸して食べた時の、その香りをきっかけに幼い頃のことを思い出す、というシーンから生まれたという、プルースト効果という言葉。

金木犀もまさに。


突然やってくる、香りの中の記憶との再会は、不意に胸を突かれ、切なくなります。

実家のある駅から実家まで、子供の頃によく通りぬけていた細い路地を縫いながら歩きました。その道沿いにも金木犀の可憐なオレンジ色の花が軽やかに香っていました。

金木犀の香りが私を呼び起こすもの。 それは、ちょっと秘密。




年年歳歳花相似   歳歳年年人不同


  人の気持ちは変わるもの。

  だからこそ、大事にすべきもの、


  大切な約束ならば、なおのこと。 


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